この戯作文学の勧善懲悪主義や政治小説の政治
この戯作文学の勧善懲悪主義や政治小説の政治主義に対し、坪内逍遥(1859~1935)は、人間の内面を写実的に描き出そうと、1885(明治18)年に『小説神髄』を刊行した。言文一致体で書かれた二葉亭四迷(1864~1909)の『浮雲』は逍遥の提唱を文学作品として結実させたものでもあった。また尾崎紅葉(1867~1903)らの硯友社は、同じく写実主義を掲げながらも文芸小説の大衆化を進めた。これに対して幸田露伴(1867~1943)は逍遥の内面尊重を受け継ぎ、東洋的な観念を主題とする作品をあらわした。
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