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随心学
「統治権ヲ総攬」(4条)する天皇に最終的な決定の権限が集中するはずであったが、明治憲法が効力を有していた全時期を通じて、天皇が帝国議会が可決した法律案の裁可を拒否したことはない。天皇が直接に政治に関与しないことは、藩閥官僚の中では自明のことであった。彼らは天皇を実際の政治には介入しない国家元首として祭り上げようとしていた。皮肉なことに、天皇の権限は、御前会議で本土決戦に固執する軍部に対して、天皇がポツダム宣言を受諾する決断をする際にはじめて発揮されたのである。